前回の記事でオイルフィニッシュワークショップ、東京都内での開催のお知らせをしました。
この記事では今年のワークショップから使っている”くるみ”の実について少しお話したいと思います。
まず初めに、このワークショップはククサカップを自分でつくるワークショップではありません。
ククサカップの形をした木材に胡桃の油で仕上げをするワークショップです。
油を塗って木材に仕上げをすることをオイルフィニッシュと呼びます。
これは僕の専門の家具、木材の仕上げに通じるものです。
刃物を使わないワークショップでは、木材のことと、油の性質、木製品のこと、家具のことについて、お話しながら一緒に勉強できることを目指しています。
さて、くるみの実の話に戻りたいと思います。
前回のワークショップから使い始めたくるみの実は、岩手県からやってきています。
2011年、僕も東京にいてあの大きな揺れを体感しましたが、岩手はその東日本大震災の大きな被災地のひとつです。
沿岸部を襲った津波により、海と共に暮らしていた多くの人々から生業が奪われてしまいました。
くるみの実はそんな方々の生活のたしにと、少しでも役に立つよう三陸の和グルミプロジェクトという活動をされている方々を通して手に入れています。
プロジェクトを進めている岩手もりおか復興ステーションの方との出会いは昨年のRuskaDay、富士山の山中湖で行われたワークショップの時でした。
そのときに
「岩手には沢山のくるみの木があちらこちらに生えていて、くるみの実も大量にできる、そしてその実を拾ったり加工したものを買い取ることで、被災した岩手の人々の役に立つ」
というお話を伺いました。くるみをつかったワークショップをしている僕は、以降、新しく購入するのならそのくるみを是非使いたいとずっと考えていました。
そして今年。
初めてのワークショップの予定を控えて、くるみを購入しようとした時を同じくして、テレビでくるみの健康効果が放送されたらしく、くるみの実は全国で爆発的に売れて、空前の品薄状態となってしまいました。
今までであれば、幾らでもといって良いほど手に入っていたくるみの実が、普通に購入しようとしてもどこもくるみがない状態。
おそろしやテレビ、おそろしや日本人、と戦慄した僕でした。
かねてからお願いしようと思っていた岩手もりおか復興ステーションの方に連絡を取ったところ、是非に使って欲しいというご返答いただいたのですが、そのテレビ効果で同じように爆発的な問い合わせにより商品がないとのこと。。。
しかしそんななか、どうにか都合してくださったくるみを受け取り、ワークショップに利用しています。
お恥ずかしながら、僕には被災地に多額の支援をするような潤沢な資産はありませんし、復興支援にも参加していません。これまでわずかながらの募金しかできてはいませんし、くるみの購入も大きな金額にはなりません。
ただこのワークショップを続けることで、供給してもらうことを通じて、本当に微力ながら良い循環が継続できるとうれしいと思っています。
和グルミはお菓子コーナーで手に入るアメリカンウォルナットとは種類が違います。
実は小さく固い、ワークショップではそのくるみの実を割ることや食べてもらうこともします。
小さなくるみから驚くほど油がでてくることを、是非体感していただきたいです。
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