信玄の隠し湯。
源泉は、水風呂ほどではないけどヌルめだ。入ると少しヒヤっとする。
しばらく入っていると身体が慣れてきて、意識がピーンとしてくるのだ。水とひとつになったみたいだ。池に浮かぶ蛙とか藻とか水草に自分がなったように感じる。
さきに居た僕と似た髪型をした若い人は、眼をつぶってゆっくり入っていた。
僕も、後から入ってきたお爺さんも眼をつぶって水に浸かる。
そうすると、何だか頭の中から音楽が聴こえてきた。
何百光年輝く星にも寿命があると、教えてくれたのはあなたでした
と百恵ちゃんが僕の頭の中で「さよならの向こう側」を歌っていた。
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